【生成AIの教科書⑤】資料づくり — 企画書・スライド・画像をAIで形にする
「来週までに企画書とスライド、ぜんぶ用意しておいて」。会社で『AI活用よろしく』と任された人にとって、いちばん心折れる瞬間がこれですよね…。真っ白なパワポを前に、まず構成で2時間、デザインで2時間、画像探しで2時間。気づけば夜中。でも、生成AIに頼り方を覚えると、ここがびっくりするくらい軽くなります。今回は、構成→スライド→画像→図解という資料づくりの全工程を、無料の範囲で、初心者でも今日からたどれる手順にしてお届けします。読み終わるころには、企画書の「たたき台」が30分で手元に来ます。
新商品の社内発表用、10枚の構成案を作って
スライド構成案(10枚)
1. 表紙:新商品「春の限定うどん」発表
2. 背景:春商戦の売上推移と課題
3. 商品概要:味・価格・販売期間
4. ターゲット:30〜40代女性客
5. 販促計画:SNS動画を軸に展開
…(6〜10枚目も続く)
まず結論
資料づくりはAIに「構成→スライド→画像→図解」の順で任せると、いちばん早いです。構成はChatGPTで骨組みを作り、スライドはGamma・イルシル・Canvaのどれかで起こす。画像と図解は無料の範囲で生成し、仕上げの言葉と数字は自分の手で。これだけで初稿が30分で手元に届きます。
5 つの視点で、ぜんぶ具体に。
知識 → 手順 → 道具 → 景色 → 次の一歩。読みたいところから。
そもそも、資料づくりのどこをAIに任せたらいいの?
資料づくりは「考える」「形にする」「飾る」の3つの層に分かれます。AIが得意なのは、まんなかの「形にする」と「飾る」の2層だけ。中身を考えるのは、これまで通り人の仕事のままです。骨組みと装飾だけをAIに巻き取ってもらう、と決める。この線引きを覚えるだけで、迷子になりません。
資料づくり、ぜんぶAIに丸投げできたら…と思いますよね。でも、いきなり全工程を任せると、ぼやっとした企画書が出てきて、結局イチから書き直し。あるあるです。
コツは、作業を3つの層に分けて考えること。①考える層(誰に・何を伝えるか・結論はどこか)②形にする層(構成、目次、スライド化)③飾る層(画像、色、図解)。
AIが本当に強いのは②と③です。①の「考える層」は、社内の事情やお客さんの顔を知っている人にしか書けないから、ここはがんばって自分の言葉で書く。
例えるなら、料理で「献立を決める」のは自分、「下ごしらえ」と「盛り付け」はAIにお任せ、みたいな分担です。これだと、AIの仕事が増えても、自分の判断は残ります。
この線引きさえ覚えておけば、ツールが変わっても応用が効きます。まずは「中身は自分、見た目はAI」。これを口ぐせにしてください。
図解
資料作成は「構成」と「見た目」を分ける
いきなりスライドを作らず、まず中身の骨組みをAIに出させます。
- 01目的誰に何を決めてもらうか
- 02構成章立てと1枚ごとの役割
- 03下書き本文と図解案を作る
- 04整える余白、強弱、表現を人が直す
AIが作るスライドって、社内資料として通用するレベルなの?
結論、社内資料の「たたき台」としては、いま十分に通用するレベルです。完成品をそのまま提出するのは、まだ早いです。文字の言い回しや、数字の根拠、デザインの細部は、人の手直しが必要です。でも、白紙から80点のたたき台までが、たった5分になる。この時短だけでも、導入する価値は十分にありますね。
「AIで作ったスライド、見た目はキレイだけど、なんか薄い」。これ、まわりからもよく聞きます。実際、現状のAIスライドは80点くらいの出来です。
ただ、考えてみてください。白紙から80点までを5分で運んでくれる、というのは、かなりの時短ですよね。残りの20点を人が乗せれば、提出レベルになります。
うちでも、企画書の初稿はAIで作って、社内のミーティングに持ち込み、その場で意見をもらいながら直す、という流れに変えました。最初から完璧を狙わないのがコツ。
あと、AIスライドが苦手なのは「数字の根拠」と「お客さんの固有名詞」です。ここはAIが知らない情報なので、人が後から差し込む前提で考えておく。
「たたき台」だと割り切ると、AIスライドはかなり使えます。完成品扱いすると、ガッカリします。期待値の置き方ひとつです。
まずは、構成案をAIに作ってもらうところから始めたい
構成案は、ChatGPTかClaudeに「テーマ・対象・スライド枚数」の3つを伝えるだけで作れます。たとえば「新商品の社内発表用、10枚」と書くだけで、目次と各スライドの見出しまでまとめて出てきます。これを土台に枚数を調整するだけで、構成を悩む時間が半分以下になることもありますよ。
資料づくりの最初の山が「構成」です。ここを越えると、あとは流れで進みます。
①ChatGPTを開く(無料版でOK)。②画面下のチャット欄に、次のテンプレを貼ります。
【コピペ用テンプレ】#資料の種類: 社内向け企画書 #テーマ: 〇〇 #対象: 営業部メンバー #枚数: 10枚 #ゴール: 来月の販促キャンペーン承認 #出力形式: 各スライドの見出しと、入れるべき要素を箇条書きで。
③Enterキーで送信。30秒くらいで、目次案がずらっと出てきます。④出てきた構成を見て、増やしたい・減らしたいスライドがあれば、続けてチャット欄に「3枚目を、お客様の声に差し替えて」みたいに頼むだけ。
ポイントは、最初から完成形を狙わないこと。3〜4回会話して、ようやく狙いに近づきます。AIは1発で当てる相棒ではなく、何度も壁打ちする相棒、と思っておくと気が楽です。
ここで作った構成案を、次のスライド生成AIに渡します。
図解
資料構成を作るプロンプト
スライドを作る前に、この指示で骨組みを出します。
- #目的
- 社内会議でAI導入の方針を決めたい。
- #相手
- 経営者と現場責任者が読みます。
- #構成
- 5枚構成。各スライドの見出しと要点。
- #条件
- 専門用語を避け、判断材料を先に出す。
スライドはGamma・イルシル・Canva、どれから試したらいい?
迷ったらまずGammaを試してください。日本語の精度と見た目のバランスが、初心者にいちばん優しいからです。日本のビジネス資料っぽさを出したいならイルシル、デザインの自由度ならCanva。3つとも無料で始められるので、同じ構成を入れて比べると、自分の業務に合うものが見えてきます。
スライド生成AIは、いまの代表格が3つあります。それぞれの「向いてる用途」を、ざっくり言うと…
①Gamma(ガンマ):テキストを入れるだけで、おしゃれな構成にまとめてくれる海外発のサービス。日本語にも対応。プレゼンっぽい、軽やかな見た目になりがち。
②イルシル:日本のサービスで、日本のビジネス資料らしい固めのデザインが得意。営業資料や社内稟議に強い。テンプレも国内向け。
③Canva(キャンバ):デザインツールにAI機能が乗った形。テンプレが豊富で、画像や図解も同じ画面で完結する。自由度はいちばん高い。
選び方の目安は、こうです。「とにかく早く・キレイに」=Gamma、「社内のお堅い資料」=イルシル、「広報・営業の販促物」=Canva。
おすすめは、同じ構成案を3つに同じ条件で入れてみること。同じテーマでも、見た目がガラッと変わるのが分かります。手で比べたほうが、説明より早いです。
読みかけの記事は、この下に続きます
実際にGammaでスライドを作る手順を、画面のどこを押すかまで教えて
Gammaは、Googleアカウントでサインインして、ホーム画面の「新規作成」から「テキストを貼り付ける」を選ぶだけで始められます。さきほどChatGPTで作った構成案をそのまま貼り、テーマを選んで「生成」を押す。これで10枚のスライドが3分ほどで完成します。手順としては、たった4ステップです。
では、実際の操作を順に追います。Gammaは日本語にも対応しているので、英語が苦手でも大丈夫です。
①gamma.app を開いて、右上の「サインアップ」からGoogleアカウントでログイン。クレジットカード登録は不要です(無料枠あり)。
②ログイン後のホーム画面で「+ 新規作成」ボタンを押す。作り方の選択肢が出るので「テキストを貼り付ける」を選びます。
③次の画面の入力欄に、さきほどChatGPTで作った構成案をそのままコピペして、「続ける」を押します。
④設定画面で形式は「プレゼンテーション」を選んで「続ける」。テーマを選ぶ画面になるので、シンプル系を選んでおくと無難です。最後に「生成」ボタン。3分ほど待つと、スライドが完成します。
あるあるの注意点として、無料版のAI生成は登録時にもらえる合計400クレジットの買い切りです(スライド生成だとおおよそ10回分。毎月は回復しません)。クレジット数や条件は変わりやすいので、最新は公式サイトで確認を。本気で使うなら、まず無料で試して気に入ったら有料プラン、という順番がよいかと。
出来上がったスライドは、右上の「エクスポート」からPDFやPowerPoint形式で保存できます。社内に渡すときはPowerPoint(.pptx)が便利です。なお、無料版はスライドにGammaのロゴ表示が入ります。社内のたたき台なら実害はありませんが、対外資料に使うときは有料版で外せます。
画像と図解も、AIで作りたい。無料でできる範囲を知りたい
画像はCanvaのAI画像生成、図解はGammaやChatGPTの図解機能で、無料の範囲で始められます。商用利用OKなものを選ぶのが大事です。実写風はAIで作るとまだ不自然になりがちなので、当面はイラスト系を中心に。図解は、文字で説明したい関係性をそのまま言葉でAIに伝えるのがコツです。
画像生成は、Canvaの「マジック生成」機能がいちばん入り口がやさしいです。①Canvaで新しいデザインを開く。②左メニューの「アプリ」→「マジック生成」をクリック。③「夏らしい爽やかな冷やしうどんの写真」みたいに日本語で指示する。④10秒くらいで4枚の候補が出てきます。なお、無料版のマジック生成は合計50回まで(毎月は回復しません)。本格的に使うなら有料のCanva Pro(月500回)です。
図解(関係図やフロー図)は、Gammaのスライド内に直接お願いするのが早いです。スライドの中で「ここに、顧客→営業→製造→納品の流れを矢印で示した図を入れて」とテキストで指示するだけ。AIが自動で図を組んでくれます。
もうひとつ、無料で覚えておきたいのが、ChatGPTにMermaid記法(フローチャート用の書き方)で書いてもらう図解です。「以下の流れを、Mermaid記法のフローチャートで書いて」と頼むと、コードが返ってきます。それをmermaid.live というサイトに貼ると、図がきれいに表示されます。
商用利用については、各サービスの利用規約に「商用OK」と書かれていることを確認してから使ってください。Canva、Gammaは無料版でも基本的にOKですが、AIが学習に使った素材の権利問題が話題になることもあるので、社外配布の資料では「念のため、人が描いたイラストや自社撮影の写真を優先する」という運用がいまのところ安全です。
AIが苦手なのは「特定の人物の写真」と「実在の商品の正確な再現」です。ここはこれまで通り、自社の撮影と素材サイトを使うのが無難。AIはあくまで「装飾の足し算」と思っておくと、安心して使えます。
資料づくりの次は、何を覚えたらいい?
次は第6章で、AIに「考えを整理してもらう」使い方に進みます。資料は形になっても、中身の考えがぼんやりしていたら届きません。情報の整理、要約、議事録の作り方など、頭の中をスッキリさせるAIの使い方を、次回は手順でお届けします。読者登録しておけば、更新はメルマガでお知らせします。
ここまでで、企画書・スライド・画像・図解という資料の「形」を作る手順は、ひととおりたどれるようになりました。
ただ、形ができても、中身がぼんやりしていたら、結局は伝わりません。次の第6章では、AIに「考えを整理してもらう」使い方に進みます。会議の議事録をきれいにまとめる、長い資料を3行に要約する、頭の中のごちゃごちゃをツリーに整理する、という業務に直結する使い方です。
更新はTalent Stackのメルマガでお知らせします。第1章から順番に読みたい方は、上のシリーズ目次から戻れます。最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
③ 道具
おすすめの商品
一生使える 見やすい資料のデザイン入門(森重湧太)
Amazon で見る →社内プレゼンの資料作成術(前田鎌利)
Amazon で見る →やってはいけないデザイン(平本久美子)
Amazon で見る →ノンデザイナーズ・デザインブック 第4版(Robin Williams)
Amazon で見る →できるCanva 仕事に活かせる!ノンデザイナーのための入門書(インプレス)
Amazon で見る →
著者プロフィール

MANTA / 岩崎 正宏
映像とデザインで「伝わる」をカタチに。
中堅飲食グループの広報・マーケをしながら、UNLEASH TALENT で映像制作とデザインを手がけています。大事にしているのは「伝わるか」。見た目のこだわりも、AIを使った効率化も、ぜんぶ"伝える"ための道具です。YouTube(@MantaTV)、長福寺の次期住職、4歳の娘の父——いろんな顔で、現場で本当に効いたことだけを書いています。
